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保険業界コラム

2025/08/25

転職市場は熱いが保険代理店の求人は今後どうなるのか

ここ数年、転職市場は年々加熱しており、求人数・転職希望者数ともに高水準で推移しています。多くの業界では人材獲得競争が激化し、優秀な人材の確保が大きな課題となっています。こうした中で、営業職の比重が大きい保険代理店業界の求人状況について見てみましょう。

転職市場は熱いことを数字で読み取る

総務省の労働力調査によると、2023年の転職者数は325万人と前年比で12万人増加6年連続の増加となりました。また、転職希望者数は1,035万人と過去最多を更新し、求人倍率も2倍を超える水準が続いています。これだけ見ても、転職市場が熱くなっていることがわかります。次に、転職後の収入について見てみます。転職後の平均年収は509.3万円(転職前より+22万円)となっています。最近は収入面だけでなく、待遇改善を伴う転職も増えています。これでおわかりのとおり、転職で収入アップや処遇改善を手に入れた人がたくさんいます。転職市場が熱いということがわかります。念のため、男女別での正規雇用での転職回数を2020年のデータで見てみると次の通りです。男女別なると、ライフステージの影響を受けますので女性の方が転職回数は多くなりますが、男性も1回の転職を経験している人が30%を超えています。

性別 転職回数 割合

男性  1回 約32.7%
         2回 約19.5%
         3回 約18.5%
女性  1回 約20.8%
         2回 約18.2%
         3回 約20.9%

保険代理店の求人は増えている

一方で保険代理店業界に目を向けると、少し違った傾向が見られます。まず、損害保険代理店数は2023年度に約15万店となり、20年前の半数以下に減少しています。これは、いわゆるプロ代理店と呼ばれていた代理店が世代交代の時期を向かえており、後継人材がいないために大手代理店に吸収合併されたり廃業するケースが多く、代理店数としては減少しています。次に、生命保険代理店や募集人(営業職員)の数も年々減少しており、業界全体では縮小傾向です。これは、業界全体で営業職の優秀人材を確保できず、代理店運営が困難になり吸収合併されるケースが増えています。つまり、保険代流転業界は、再編が進んでいると言えます。ですから、大手乗合代理店や成長戦略を描く一部の企業では採用を強化しています。実際に、募集人が1年で約3倍に増えた代理店の事例も出ています。また、大手企業のグループ内保険代理店では安定的に収益を確保しています。このような代理店では、保険業界から転職してきた営業職経験者が活躍しています。このように、業界全体では「代理店数は減少」しているものの、勢いのある代理店は積極的に人材を求めて、安定的な収益を確保している代理店は優柔な人材を求めているのが現状です。

これからの保険代理店業界の見通し

保険代理店業界の見通しとしては、小規模代理店は大手代理店に吸収合併されたり、廃業する代理店が増えると思われます。一方で、大手や乗合代理店に優秀人材と顧客が集まってくると思われます。つまり、これからは、営業職への期待が大きくなってくるのです。オンライン相談やAIによる保険商品を選ぶ環境も普及してきますが、顧客本位のコンサルティング型の営業力を持った人材にニーズが集まります。ファイナンシャルプランナーとしての専門的な知識を持った営業職としての存在や顧客に寄り添う姿勢を持った営業職の存在が求められます。

今回のまとめ

転職市場全体は高水準の活況が続いており、売り手市場が継続しています。一方で、保険代理店の数や募集人は減少傾向にあります。ただし、大手代理店や成長代理店は採用を強化し続けます。また、安定収入のある代理店も少なくはありません。つまり、転職市場全体は「熱い」が、保険代理店業界は「淘汰と成長の両面」が進んでいます。この環境の中で、今まで以上に代理店業界は優秀な人材の獲得が大きな課題となっています。求められる人材は、専門性と顧客本位の姿勢を持った人材です。この見通しの中で、転職を検討する場合は、保険業界、代理店について専門的な見方ができる転職エージェントに相談することをおすすめします。