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保険業界コラム
2025/09/05転職はその会社を卒業すること、次のステージにステップアップ
近年、日本の転職市場は大きく変化しています。終身雇用の慣習が薄れ、キャリアの多様化や働き方改革、副業解禁などの流れによって、一つの会社で定年まで勤め上げる時代ではなくなりました。人材の流動性は年々高まり、20代から40代まで幅広い世代で転職が一般的な選択肢になっています。また、転職サービスやSNSの普及により、情報を得やすくなった一方で、選択肢が多すぎて迷いや不安を抱える方も増えています。そんな時代だからこそ、転職を「会社を辞めること」と捉えるのではなく、「これまでの会社を卒業し、新しいステージにステップアップすること」と考えることが大切です。そう考えることで、過去のキャリアに区切りをつけ、未来に向けた前向きな決断につなげられます。では、実際に転職を進めるにあたり、どのようなプロセスを踏むべきかを整理します。
転職するきっかけをはっきりさせる
転職を考える理由は人それぞれです。給与や待遇に対する不満、キャリアアップの希望、ライフステージの変化、職場環境や人間関係の問題など、背景は多岐にわたります。ここで大切なのは「なぜ自分は転職を考えているのか」を明確に言葉にすることです。漠然と「今の会社が合わない」と感じているだけでは、次の転職先でも同じ問題に直面する可能性があります。たとえば、「もっと専門性を高めたい」「子育てと両立しやすい環境が欲しい」「今の営業からもっと高度な営業に挑戦したい」といった具合に、具体的な動機を整理しておくことが必要です。きっかけを明確にすることで、自分が転職に何を期待しているかが見えてきます。これは、次に進む企業を選ぶ上での「軸」となり、判断に迷ったときの拠り所になります。
転職で求めることを明確にする
きっかけを整理したら、次は「転職によって実現したいこと」を具体的に描いていきます。転職活動における失敗の多くは、求める条件を曖昧にしたまま企業を選んでしまうことから生じます。求めることには大きく分けて、以下の3つの視点があります。
働き方の条件:給与、勤務地、勤務時間、リモートワーク制度など。
キャリアの成長:新しいスキルの習得、専門性の深化、役職・責任の拡大など。
価値観との一致:企業文化、社会貢献、チームの雰囲気、自分らしい働き方。
たとえば「ワークライフバランスを重視したい」と考える人にとっては、残業時間や柔軟な勤務制度が重要な判断基準になります。一方で「専門性を高めたい」と考える人にとっては、研修制度やキャリアパスが整っているかどうかが決定的な要素になるでしょう。自分が求めることを明確にする作業は、履歴書や面接で「なぜその企業なのか」を語るうえでも役立ちます。企業にとっても「この人は目的意識を持っている」と評価され、採用されやすくなるのです。
アルムナイ・コミュニケーションの重要性
近年注目されているのが「アルムナイ・コミュニケーション」です。アルムナイとは、ある企業を卒業した元社員たちのネットワークのことを指します。欧米では一般的ですが、日本でも徐々に広がりを見せています。かつては「辞めた社員は裏切り者」とみなされる風潮もありましたが、今では「辞めてもつながりを持ち続けること」が企業や個人にとってプラスに働くと考えられています。アルムナイ同士で情報交換したり、新しいビジネスのパートナーになったり、将来的に元の会社へ再入社する「ブーメラン転職」につながるケースも少なくありません。転職は終わりではなく、むしろキャリアを豊かにするスタートです。そのためにも、退職後の人間関係を断ち切るのではなく、円満に「卒業」し、コミュニケーションを続けていく姿勢が重要になります。
今回のまとめ
転職は「卒業」であり「ステップアップ」です。そのためには、①転職のきっかけをはっきりさせる、②自分が転職で求めることを明確にする、③アルムナイ・コミュニケーションを大切にする、という3つの視点が欠かせません。しかし一方で、転職市場は情報があふれており、自分一人で適切な判断を下すのは難しい場面もあります。そんなときに心強い存在となるのが、信頼できる転職エージェントです。エージェントは求人情報の紹介にとどまらず、キャリアの棚卸しや希望条件の整理、面接対策、そして企業とのマッチングまでサポートしてくれます。また、非公開求人へのアクセスや、条件交渉といった個人では難しい部分も代行してくれます。転職は人生の大きな節目です。だからこそ、単なる「退職」ではなく、「卒業」として次のキャリアにつなげる発想が重要です。そして、自分に合った転職先を見極めるために、信頼できるエージェントに相談することを、ぜひ一つの選択肢としてください。