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保険業界コラム
2025/10/08保険業界の給与体系を理解して、自分に合った働き方を選ぶ
保険業界のなかでも、営業職は「努力次第で給与を大きく増やせる仕事」として注目されてきました。実際、転職の目的として「給与を上げたい」という動機を挙げる人は少なくありません。一方で、同じ「保険営業職」といっても、給与体系の仕組みを理解せずに入社してしまうと、思ったように収入が上がらない、安定しないといった不満を抱くケースも多くあります。そこで、保険営業職の給与体系の基本構造と、その選び方について解説します。自分に合った給与スタイルを理解することで、納得感のあるキャリア形成ができるようにしましょう。
保険営業職の給与体系は3つに分かれる
保険営業職の給与体系は大きく分けて、以下の3つのタイプに分類されます。
フルコミッション型
保険代理店に多い給与体系で、「完全歩合制」とも呼ばれます。固定給はなく、自分の販売・契約実績によって報酬がすべて決まる仕組みです。成果を上げれば上げるほど収入は青天井に増えます。たとえば、法人営業で大型契約を取ると一気に年収1000万円を超える人も珍しくありません。実力がそのまま報酬に反映されるため、モチベーションが高く、営業スキルに自信のある人には大きな魅力があります。しかし、その分リスクもあります。契約が取れなければ給与はほぼゼロ。安定した固定給がないため、生活基盤をどう維持するかを自分で計画的に考える必要があります。また、成果が出るまでに時間がかかる新人期は、貯蓄や副業などで一定の生活基盤を確保しておくことが重要です。フルコミッション型は「自分の力で稼ぎたい」「営業成績を正当に評価されたい」というタイプの人には向いています。
固定給+歩合給型
生命保険会社の営業職や、来店型の保険ショップなどに多い給与体系です。固定給が支給されるため、一定の安定感があります。そのうえで、営業成績に応じて歩合給(インセンティブ)が上乗せされる仕組みです。例えば、固定給が月20万円で、契約数や売上目標を達成した分だけ3万円~20万円のインセンティブが加算されるといった形です。営業職としての成果を評価されつつ、最低限の生活基盤も守られるという点で、フルコミッション型よりもリスクが低く、未経験者にも取り組みやすいスタイルです。ただし、固定給がある分、一件あたりの歩合率は低めに設定されています。つまり、「同じ営業成績でも、フルコミッション型に比べると手取りは少ない」という特徴があります。また、会社によっては「一定期間の成績が基準を下回ると、固定給のランクが下がる」仕組みを採用している場合もあります。安定しているようでいて、成果次第では変動もあるため、給与規定は事前に確認しておきましょう。「安定を確保しつつ、努力で給与を増やしたい」という人には、この固定給+歩合給型が最も現実的な選択肢です。
固定給のみの体系
固定給のみの体系は、一見すると安定しているように見えますが、営業職というよりは管理職やマネジメント職に多い給与形態です。チーム全体の成績や組織運営を任される立場のため、部下の成果に責任を持つ立場になります。そのため、自分の直接的な営業成果で給与が変わることは少なくなりますが、チームの業績が振るわない場合には給与ランクが下がる可能性もあります。また、管理職として固定給が設定されていても、実際には「組織の成果評価」によって昇給・降給が決まるケースもあるため、「完全な安定」ではない点には注意が必要です。とはいえ、営業現場での成果経験を積んだうえで、マネジメントに挑戦したい人や長期的にキャリアを築きたい人には向いています。
営業成績の評価基準を入社前に確認することが重要
保険営業職の給与は、「一件あたりの成績評価」がどのように設定されているかで大きく変わります。たとえば、同じ契約数を成約しても、「契約単価」「商品種別」「継続率」など、評価の軸が異なると報酬にも差が出ます。そのため、入社前の段階で次の点をしっかり確認しておくことが大切です。
• 1件の契約でどのくらいの歩合が支払われるか
• 保険の種類(生命保険・損害保険など)で報酬率に差があるか
• 継続契約や紹介契約に対しての評価があるか
• 固定給の見直しやインセンティブの条件がどのように決まるか
これらを確認しないまま入社してしまうと、「思っていたより給与が少ない」「評価が不透明」といった不満が生じやすくなります。給与を増やしたいなら、「評価が明確な会社」を選ぶことが何より大切です。また、給与だけでなく、教育制度やサポート体制が整っているかもあわせて確認しましょう。成果を出しやすい環境で働けるかどうかも、長期的な収入に直結します。
給与体系と働き方を一致させることが成功の鍵
どの給与体系にも一長一短があります。重要なのは、「どの体系が良いか」ではなく、「自分の働き方や価値観にどの体系が合うか」です。たとえば、
• 「自分の力で稼ぎたい」「成果主義が好き」→ フルコミッション型
• 「ある程度の安定がほしい」「努力も報われたい」→ 固定給+歩合給型
• 「チームマネジメントや長期的安定を重視」→ 固定給型
このように、自分のライフスタイルやリスク許容度に合わせて選択することが重要です。また、「副業として保険営業をする」のか、「本業として長く取り組むのか」でも考え方は変わります。副業であれば、固定給を重視するよりも、成果に応じて収入が増える体系の方が向いている場合もあります。逆に、生活の安定を第一に考えるなら、固定給をベースとした会社を選ぶ方がよいでしょう。営業職を続けていくうちに、「給与が低い」「評価が不公平だ」と感じる人もいますが、多くの場合は最初に給与体系を十分に理解していなかったことが原因です。納得感をもって働くためにも、最初の段階で「自分はどの働き方を選ぶのか」を明確にすることが欠かせません。
今回のまとめ
給与は、働く上で誰にとっても重要な要素です。特に保険業界では、給与体系の違いがそのまま働き方やキャリア形成に直結します。「給与が良さそう」「雰囲気がよい」だけで会社を選ぶのではなく、自分のキャリアプランと給与体系を照らし合わせて検討することが大切です。もし自分だけで判断できない場合は、業界経験者や専門エージェントに相談してみるのもよいでしょう。彼らは各社の評価制度や報酬の実態を把握しており、自分の希望条件に合った職場を提案してくれます。保険営業は、努力が報われるやりがいのある仕事です。しかし、その成果を最大限に活かすには、給与の仕組みを理解し、自分に合った働き方を選ぶことが不可欠です。給与体系を知ることは、単なる収入の話ではなく、自分の人生設計を考える第一歩でもあります。焦らず、納得できる選択をして、長く続けられるキャリアを築いていきましょう。